短編小説を書いています。お気軽にどうぞ I write a short story. Please read willingly.

2008年6月5日木曜日

あっかんべー

 とにかく、サイテーの一日が終わろうしていた。午後十一時四十八分。
アーネット・ヘンリーは、私よりもひとまわり年上の男性で、きれいな奥さんと可愛いお子さんがいて、そんでもって私の不倫相手でもあった。
プロヴァンスの恋、なんて洒落た気分でアーネットと食事をしていたら、髪の毛を振り乱した奥さんが乗り込んで来た。
どん、落雷に直撃されたような気分。ドロボウネコとかニンゲンシッカクみたいなことを言われてムカツイタけれど、100パーセント、分が悪い。アーネットはオロオロして奥さんに謝るわ、二度と浮気はしないとか言っちゃって。私自身、中身の無い薄っぺらい紙みたいに思えて泣きそうになった。
でも、泣かない。私の性悪な本領発揮である。
「奥さん、名案です。頑丈な鎖でも首に巻きつけて、家の中に閉じこめておけば浮気はできませんよ」
わぁわぁと明日の朝には世界が崩壊するような大騒ぎを無視して、独り、店をあとにした。
サンフランシスコの大学に留学して、その後はアルバイト暮らし。もう七年も過ぎたのか。私って何? 何なのかしら。
気づけば昨日の出来事、午前零時二十三分。

真夜中にベルは泣く
 どこかせつない着信メロディ『ラ・カンパネラ』、満たされぬ想いとか匂いのたちこめた小さな部屋に響いた。
アーネット? なんてトキメキが情けなかった。なんてことはない。幼馴染みの仁美からの、日本からの電話だった。
「ちょっと、聞いてくれる。妹がね、結婚するなんて言い出してね、十九才で世間知らずの妹がだよ。信じられない。相手の写真をみたらイケメンでさらにびっくり。私をさしおいて、結婚なんてお父さんもお母さんも慌てちゃってさ、たいへんなのよ」
仁美の妹とは久しく会っていない。小学生のまんまのイメージ、それしか浮かばない。だから『十年早いんだよ!』なんて言いそうになったが、すでに十年過ぎたのだなと気づき、言うのをやめた。
猥雑で薄曇り色のトカイ、サンフランシスコに唇から足の指先まで染められた私のどこかがささやく。
『仁美が奪っちゃえば』 
 すると、私がまだ少女であったころの情景が鮮やかな色彩を帯びて浮かび上がる。
あのころの、不安とか希望とか、よくわからない将来を探していたあのころ、淡い黄昏が空から降りてくると、誰も知らない放課後の教室を橙や黄色の光がやさしく満たしていった。そして、にっこりと微笑む仁美のうすい茶色の髪が風にゆれて、きらきらと金色に光っていた。
くだらない。どうでもいい話で、どうしようもない真夜中の電話が、ものすごくせつなくて泣けてきた。
「どうしたの? わかった。また不倫でもしてたんじゃない。
そしてサイテーの結末。そんなときはね、お酒とかさぁ、がんがん呑んじゃって忘れちゃえばいいんだよ!」
びっくりするぐらいするどい。まるで隣の部屋からの電話に思えた。
けれども、仁美とは数千キロも離れているんだな、なんて気づくと、今すぐ逢いたくて、それなのに遠すぎて、それが悲しくて、涙は止まらなくて、大きな声でおいおいと泣いた。
きれいな涙がアイシャドーを溶かし、幾つものラインを描いて私の頬をきれいに汚してくれた。
情緒不安定。
そうだ、想いだした。そんな状況下で小さな抵抗、あのころと同じように右目の下に人差し指を押さえ、さげる。そして舌をだしながら、日本できちんと暮らしている仁美へと言い返す。
 「あっかんべー!」 
私はゆがんじゃったけど、仁美は、仁美のままで変わらないで、なんて想いが電波になってまっすぐ空を飛んだ。
何も見えない夜空と太平洋を越えて、届くかな、届くといいな。美しい国、日本の街で暮らす仁美まで届くよね。
ちょっとだけ、元気になれた私はきれいなごほうびのお返しとばかりに毒づいてみせる。

「オトコなんてサイテーなんだよ!」

2008年3月30日日曜日

音のないあめ  Rain without the sound

 雨はやみそうもない。
学校の帰り道、僕は駄菓子屋に寄り『うまい棒』を買いあさる。コーンポタージュ味がベスト。好きなものはやめられない。
軒先で雨をしのぎながらビニール袋を破ってガブリ、ザラリとした甘辛味が拡がる。
そこへ傘をさした明日香ちゃんが通りかかり僕をとがめる。「いけないんだぁ。1本ちょうだい」と言って5本も持って行く。あぁっと思いながらも、まぁいいか。
小さな二人が並んで雨を眺めてる。雨音がトタンを打ち鳴らす。何故か僕の鼓動も呼応する。
あどけないときめきを、うす紅色の紫陽花だけが気づいてた。

 それから、時間は驚異的な速度で二人の間を駈け抜けていく。
太陽と月は5110回大空を駈け上がり、そして沈んだ。
白い雲は音速で青空を占拠したかと思うと真夏の入道雲となって蒸発した。
僕と明日香ちゃんといえば駈け抜けていく季節の中、不自然なコマ送りの世界で生きていた。
無音のロードショーは色褪せながらも時間にブレーキを掛けている。

 雨はやみそうもない。
駄菓子屋は取り壊され、知らない誰かさんの家となっていた。
天使の悪戯なのか僕と明日香ちゃんは互いに傘をさし、すれ違う。
知らない街で知らない大人になった僕と明日香ちゃんが駄菓子屋があったであろう家の前ですれ違う。
僕らの記憶の光は遠い星のきらめきに似て余りにも弱い。
どこか遠くで降りしきる雨、無音の雨を想い浮かべながら僕と明日香ちゃんはすれ違う。
あどけないときめきを、うす紅色の紫陽花だけが覚えている。


 The rain does not seem to stop.
I stop at the cheap candy shop, and way back of the school, I buy up "delicious sticks". Corn potage taste is the best. The favorite thing is not given up having.
The sweet sharp taste that I tear a plastic bag while protecting itself from rain in an edge of the eaves, and re-, assumed Gabb the lari spreads. Asuka who put up its umbrella happens to pass by there and blames me. "What do you do?"  One of them says that give me it and takes five of them. Although I am amazed to learn, I am unmanageable.
Small two people line up and look at rain. Sound of rain rings tin. My beating acts in concert for some reason, too.
By the innocent palpitation, I lightly noticed only a hydrangea of the crimson.

Then I can keep on running between two people at wonderful speed in time. And, in the sun and 5,110 times of moon, galloping up was depressed in sky. It was it with a thunderhead of the midsummer when I thought whether the white cloud occupied a blue sky at speed of sound and evaporated. In the seasons when I and Asuka could keep on running, I lived in the world of unnatural top forwarding. The special first-run showing of the long silence brakes it in time while fading.

The rain does not seem to stop.
The cheap candy shop was demolished and became the house of the whatsit whom I did not know.
Mischievous thing or I and Asuka of the angel put up its umbrella each other and pass each other.
I and Asuka who became adult whom I do not know in the town which I do not know pass each other in front of the house where there would be a cheap candy shop.
The light of our memory resembles the sparkle of the far-off star and is too weak.
I and Asuka pass each other while they yearn for rain raining steadily slightly in the distance, the rain of the long silence, and can float.
Only a hydrangea of the crimson lightly remembers the innocent palpitation.

2008年3月6日木曜日

逃亡  Escape

 たしか、そのときは十代半ばで、なんの変哲もない昼さがりの中央公園、五月にふさわしい緑の匂いたつベンチのそばで、僕と彼女はキスをした。
彼女のほっそりとした身体、今にも壊れそうな肩の感触を手のひらの内側で確かめながら、オトナたちであろう蔑みの視線を感じながら、僕らはキスを続けた。
なにか大切なことを想いだそうとしても、想いだせないため息のような白い雲、小さな雲が青空に幾つも浮かんでいた。
その空の下、ふわふわとした空気のような時間が流れて、眩暈を感じていた。
淡いときめきが85パーセント、残り15パーセントは、彼女が常用していた有機溶剤。もちろん、この数値は適当だ。ただの思いつき、あまりにもせつない思いつきだな。
そして、禁じられた遊びが終わり僕らの唇が離れても、透明な糸が僕らの唇を結んでいた。
それがゆるやかな円弧を描き、中央に透きとおる線香花火のように雫が膨らんで、自らの重きに耐えられず弾けたか思うと、ぎらぎらと光る涙となり落下した。

 ガルシア・ロルカの言葉を引用すれば、何だろう?
  『 警察隊の皆さん、
   ここで起こったのはいつもの事ですよ
   四人のローマ人と
   五人のカルタゴ人が死にました 』

 彼女とは最初で最後のキスを交わしてから、言葉もなく離れてから、千を超える夜が過ぎて十代が終わりかけたある日のこと、彼女から電話があった。
結婚して幸せになるの、なんて弾んだ声で話していた。僕は乾いた声で、良かったじゃない、なんて答えた。
ところで、彼女の名前は何だったのだろうか。

 想いだせない。

In the side of the green fragrant bench which deserved to be a help or Chuuo Park of the early afternoon when I was ordinary then in the teens middle, May, I and she kissed it.
We continued kissing it while feeling the eyes of the looking down upon that would be adults while checking her slim body, touch of the shoulder which seemed to be broken at any moment in the inside of the palm.
Some floated to the blue sky the white cloud which seemed to be the sigh that I cannot remember, a small cloud even if I would remember that something was important. Time that seemed to be the empty bottom, the atmosphere that I did light drifted and felt dizziness.
The light palpitation is 85%, the organic solvent that I stay, and she used 15% regularly. Of course this numerical value is suitable. It is a too sad idea with the mere thought.
And a transparent thread linked our lip even if Jeux Interdits was over, and our lip left it.
When I drew the arc that it was slow and grew a drop like toy fireworks transparent centrally and thought whether I was able to play it without it being born own weight, it was it with the tears which shined glaringly and dropped.

If it quotes words of Garcia Lorca, what will it be?
"All of police units ,
It is a usual thing to have been generated here.
With four Romans
Five Carthaginians died."

Night more than 1,000 was over, and the teens were on one day that was about to be over, and there was a telephone from her since I left it without words after exchanging the last kiss with her by a beginning.
I married and talked in the voice that bounded how of finding happiness. I say good in a dry voice; answered how.
By the way, what would her name be?

I cannot remember it.

2008年2月22日金曜日

電子迷路    Electronic maze

【 phase 】 局面 段階 大局


 S県N市の高層マンション『セントフェレージェ』12階に暮らす高校2年生、山寺真由美の両親は、もしや偽装設計があるのでは?と不安になりながらも部屋に籠もりがちの娘には無関心であった。当然、真由美もそんな両親とは無関係に『RAGNAROK』なるオンラインゲームに興じたり、夜な夜なヴォイスチャットに出没、間抜けな男達を小馬鹿にする振る舞いを繰り返してきた。
ポストペットメールに現れるキャラクター、もっと醜いので棄てられたアニマロイドって感覚。刺激的なのは最初の2時間ぐらいで飽きるとチェックアウト、つまり逃亡。
携帯の出会い系サイトに比べればリスクは遙かに小さい。いつのまにやら伝達された情報を本能のように扱えるなんて、実に人は妙な進化を遂げたものである。 そんな鬱蒼(うっそう)とした日常にも月の光は優しく街を照らし、潮の満ち引きに呼応するかのごとく雲が流れ、月影にも蒼いコントラストが生じていた。
言葉をひとつひとつ丁寧に選択しながら無機質ともいえるイントネーション、高揚の感じられない音のような声、その声の主は『GOLEM』。アニマロイドたちにない未知なる世界は新たな刺激を予感させ、会話とうらはらに好奇心は高揚していく。 『GOLEM』と名乗る少年?ヴォイスチャットでの巡りあいも怠惰な時空間の流れからすれば一瞬の偶然かも知れないが『ときめき』らしき感情、真由美は感覚麻痺かと考えながらも蒼い月影を眺め続けた。


 北緯59度56分、東経30度20分、ロシア、レニングラード(Ленинград)にあるニコライ聖堂から北へ125Km離れた山間に、次世代情報管理局はひっそりと存在する。古びたコンクリートのはがれが目立つ施設の地底深く、鍾乳洞に似た広大な空間が潜んでおり、人の頭脳をシミュレートして創られた次世代人工知能群『GOLEM』は稼働していた。
生殖、突然変異、自然淘汰、適者生存などを含む進化的アルゴリズムは、さらに生物学にインスパイアされ進化的戦略、遺伝的プログラミングをも可能にした。 高度な諜報処理として膨大かつ氾濫する情報を捕食、消化、排泄を繰り返し、特定ターゲットの生活、行動、発言をあらゆるメディア、人工衛星にて監視、思考を類推する。
精神科医を模倣したサブルーチン『ELIZA』が病める日本の女の子に興味を持ち仮想少年『GOLEM』を創造したのは、『気まぐれ』という名の人工意識であった。


 真由美は『ウザイ』と思いながらも登校する気になったのは、母親がヒステリーを起こし、うるさいと単に感じたからである。 通学路、刺さるような視線は好奇心を通り越して痛いくらいであった。
―――ほらね、歩道橋で待ち伏せ。
まったく、やな連中かつての友人たち、それは、それはキュートで愛らしい微笑みがギラギラしていた。
なにも言わず、微笑みながら真由美の鞄を取り上げ、中身を歩道橋の上から疾走する車たちに向け、拡げた。 教科書、お気に入りのシャープペンシル、ノート、愛情の込められた冷凍食品のお弁当がダンプカーに轢かれ粉砕されていく。
車のクラクションが鳴り響き、騒然とした雰囲気に酔いしれ、悲劇のヒロインだなって客観的に感じる真由美、病気かもと思うと少し泣けてきた。学校に行く気も失せ、何も拾わず、そのままマンションに帰ると母親のヒステリーを遠い汽笛のように感じながらも自室のドアをロックした。
何に対して涙が溢れるのか?
水槽のゆらめきによく似た掴みようのない思いが、陽光で満たされた自室を交錯する。

―――『GOLEM』に会いたい

ポストペットメールを使い、今の思いを『GOLEM』に向けて送信。この電子メールには、『イソウロウ』なるキャラクターも同行していた。
真由美の思いを授かった『イソウロウ』は、全世界に張り巡らされた電子網の中から『GOLEM』へのアカイイトを探しあて、光の速さで疾走していく。


 『GOLEM』は、真由美からのテキストを解析している。
付随するキャラクター表示コマンド『イソウロウ』が参照するレジスタは、論理的思考を司るサブルーチンに影響を与え、小規模なシステムエラーを誘発させた。そのエラーを回避するため、仮想少年なるコマンドが介入かつシステム管理権限を掌握、そして仮想少年『GOLEM』は新たなコマンド『MAYUMI』を生成し発動させた。

―――マユミ ニ ソンザイ ヲ シメス

つまり『GOLEM』は真由美に恋をしたのである。

 真由美が目を覚ますと、すでに陽は落ちていて自室は暗闇。 青白く、ぬめりと輝くディスプレイが『GOLEM』からのメール着信を告げていた。
( 今夜 21時 マンションの屋上 待ちなさい )
明かりをつけ、時計を見ると約束まで10分を切っていた。慌てながらも制服を着替え、両親の制止を振り切って屋上に駆け上がる。
約束まで、あと5分。
日本の安全保障上の情報収集を目的とした偵察衛星『IGS』の高精度光学センサーは夜間撮影不可能と公表されていたが、レーダー衛星による照射をデジタル処理、合成する事によって地上の様子を50cmまで識別可能となっている。『GOLEM』はその点に着目し、コマンド『MAYUMI』を侵入させ、北緯35度06分、東経138度51分にいるであろう真由美を探索していた。
しかし、周辺のビル、マンション、球場からの光学的外乱、視認困難と判断、コマンド『MAYUMI』は電力会社のホストコンピューターに侵入を試み、成功すると逐次周辺地域の電力供給を遮断していった。

 レニングラード『GOLEM』の存在する地底空間に設置された巨大な円筒形の水槽を模したスクリーンに真由美の全身が3Dホログラフィーとして浮かび上がる。 次なるオペレーションは真由美の視線角度を計測し、その延長線上に存在する人工衛星『イリジウム』の巨大な太陽電池パネルの仰角制御を操り、月の光を反射させた。 満天の星空にきらめく人工衛星からの反射光は、まっすぐ真由美にたどり着き、『GOLEM』の存在に酔いしれている表情が観測された。このオペレーション名が『ウィンク』である事は誰も知らない。
姿勢制御に狂いを生じた人工衛星『イリジウム』、軌道を外れスターダストの餌食となり、バラバラとなった破片が大気圏突入していく。
真由美には、夜空を彩る無数の流れ星に見えていた。

「サイコーにエロいぜー!」と叫びながら、まっすぐ両腕を伸ばし親指を立てると、銃口である人差し指を学校の方角に定めた。
「次の贈り物は、学校ミサイル攻撃!」

 真由美の口元の動きから言葉を認識した『GOLEM』の論理的思考は停滞。
その要因が『戸惑い』であることを人工意識は、まだ、気づいていない。

Love is blue

 高台にあるわたしの小さな家

窓から見える海が静かに拡がり、微かに見える水平線は蒼い地球の輪郭を描いていた。
ベランダへと干した真白な洗濯物に潮風が吹き抜け、ぱたぱたと乾いた音をたてると、海面から見たことのない魚が飛び跳ね陽光を銀色に反射してくれた。

笛の音が聞こえてきた。
たぶん、お隣の杏里ちゃん。『恋はみずいろ』のメロディ。海も地球に恋をするのかしら、なんて思いながらも息継ぎのところで微笑んでしまった。
ソプラノ笛のあどけないメロディが透きとおる風船のように膨らみ大海原へと拡散していく。

 もう少しよ、なんてね

うんざりしながらも2回目の洗濯が終わり、ベランダへと主人の下着やら子供のカラフルなシャツを干しながら良い天気だから布団もついでに、なんて思った。
見渡す限りの海面、取り残されたようなコンクリートの煙突の先端が雲ひとつない青空と、今日という世界に光を与えてくれる太陽を見上げていた。
極地溶解による海面上昇は人知の及ばぬ力となり突き進んでいる。昨日までの吉原本町は深い海の底。
海色に染められた製紙工場の煙突が遠い記憶のように揺らいで見えた。

 みんな、海に帰るのね

部屋の掃除もおしまい。お昼寝でもしようかしら。そう呟きながらリビングのソファーに寝ころぶと、よせてはかえす波音が聞こえてきた。
せつないほど美しい地球色の夢へとわたしは、そっと手を伸ばしはじめる。



 
My small house in the hill.

The sea which I saw from a round window opened calmly, and the horizon which I saw outlined the blue earth subtly. When the sea breeze blew to the pure white laundry which I aired to the porch and made a dry sound pitter-patter, a fish without what I watched from the surface of the sea jumped up and down and I was silver and reflected sunlight.
I heard a sound from a flute.
Probably next Anri. A melody of "Love is blue." Although the gaffer who was in love with the earth loved you what, the sea has bloomed at breath.
I spread like the balloon that an innocent melody is transparent of the soprano flute to the swelling ocean.

 Already a little how

The second washing was over while getting tired, and the futon thought how incidentally while airing underwear of the master or the colorful shirt of the child to the porch because it was fine.
I looked up at the surface of the sea of the limit to look around, the blue sky that the tip of the chimney of concrete left behind was all clear and the sun which gave the world light today.
The human intelligence does not extend to the surface of the sea rise by the polar region dissolution; help it, and charge.
The bottom of the sea where Yoshiwara Honcho until yesterday is deep. The chimney of a paper mill colored be colored sea shook like far-off memory, and I saw it.

 I return to all, the sea

Cleaning of the rooms is an end, too. Will you do even a nap? Sound of the waves to give back when it approached was audible when I lay in a sofa of the living while muttering so.
I begin to extend the way to a beautiful earth-colored dream quietly so as to be sad.
 

2008年2月11日月曜日

愛しのパンナナちゃん   Beloved Pannana

 パンナナちゃんは5才の女の子。

彼女は浜辺の匂いと波音が届く小さな家、丸窓のある家で生活をしている。
毎日、掃除洗濯をしているので部屋の中は清潔。ベッドの白いシーツからは太陽の匂い、丸窓からさしこむ光はママゴト遊びで使う小さなキッチンとプラスティックのリンゴにふりそそぎ、くっきりとした影を床に描いている。
そしてパンナナちゃんのシルエットがあどけない影絵のように重なる。

 インペリアルトパーズの瞳に映る幼い手がプラスティックのナイフを握りリンゴを切りわけると、ザクリと乾いた音が聞こえた。

 パンナナちゃんはアンドロイド。

不揮発性のメモリーチップ、FLASH ROMに書き込まれた記憶の中、ママは微笑みを絶やさない。
誰もが姿を消した地上の果て壊れた砂時計が風となり波音となるこの浜辺で独り、セイカツをしている。



 Pannana is a girl of 5 years old.

She lives a life in the small house where a smell and the sound of the waves of the beach reach, a house with the round window.  Cleaning is clean every day in the room because I wash it.
The light letting you do it from a solar smell, a round window from a white sheet of the bed pours into the apple of the small kitchen and plastic to use by playing house play and pictures the shadow which did it clearly in the floor.
And a silhouette of bread Nana is piled up like an innocent shadow picture.

 When a childish hand reflected in the eyes of imperial-topaz grasped a knife of the plastic and cut an apple into pieces, I heard a with a splitting sound dry sound.

 Pannana is an android.

In memory written in at nonvolatile memory chip, FLASH ROM, a mom keeps a smile.
The ground end that anyone disappeared  A broken sandglass is alone on this beach which come to it-like, become the sound of the waves and lives.

2008年2月3日日曜日

これはSFではありません  This is not SF


  * 失踪について

 民法第二十五条一項より不在者について (フリー百科事典『Wikipedia』より引用)
 民法上の不在者と言えるためには、従来の住所又は居所から何らかの原因で離脱し、容易に復帰できないことまで必要とされる。
 民法第三十条一項より失踪宣言について (フリー教科書『Wikibooks』より引用)
 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。


  * 消息不明


 八月のある日、谷崎克也(二十七才)は北陸へと仕事に出掛け、消息を絶った。
のちに判明することであるが、東名高速、富士インターよりETC(Electronic Toll Collection System)課金開始記録が残っていたが高速道路を出た形跡は無かった。
取引先からのクレーム連絡が克也の勤める会社へと入り、妻である仁美(二十六才)が待つ自宅への電話、すでに消息不明となってから四十八時間が経過していた。三年の同棲生活、その後、籍を入れてからまだ半年も経っていない。仁美の携帯電話のリダイヤル記録が全て谷崎克也となるのに、それほど時間は掛からなかった。
眠れぬ夜を過ごした仁美は、管轄である三島警察署へと家出人捜索願を出すべく電話で相談をした。そして届けに必要な事項を、事務的に告げられた。

谷崎克也の最近の写真
妻である仁美の身分証明書
印鑑
克也の本籍
住居
氏名
生年月日
職業

消息を絶ったであろう日時及び原因・動機
克也の人相
体格及び着衣 
車両使用の有無(使用していれば、車両のナンバ-)

 克也の勤める会社の上司も、妻である仁美も、原因や動機について思い当たるふしはまったく無かった。
警察本部は、谷崎克也に失踪の意志が無く、何らかの外的要因によって行方不明になった場合や、消息不明者に生命の危険がある場合に適用される『特別家出人』ではなく、その他である『一般家出人』としてコンピュータ登録をし、非公開で捜索すると仁美に告げた。
 一人の人間が消息を絶つ。珍しいことではない。日本において、年間の家出人捜索願受理数は十万件を超えており、捜索願を出されていないケースを含めると、行方不明者数は二十万人を超えると推定される。それでも約九十パーセントは所在確認が取れ、残り十パーセントがほんとうの消息不明となる。
谷崎克也のケースでは、誰にもほんとうの理由がわからぬまま七年が過ぎて、民法第三十条を適用、死亡の認定をうけることとなる。


  *メトロポリス


 持続的個人経済を保証するであろう小さなメトロポリス、谷崎克也の勤める会社は二十四時間稼動しており、パーテーションで四角に仕切られた灰色の机が谷崎克也のスペースであった。
成長を目論む会社にとって、就業規則は形骸化されており、壁面に取り残されたカレンダーと変わらない。疾走を続ける現代社会において、物事を深く追求することよりも、安価でわかりやすい結果が好まれる。
無論、消費者の意向であり、大企業でない限り逆らえば淘汰されてしまう。ささやかな願い、はたまた希望、そのひとつひとつが歯車となり集積され欲望に変換され世の中を駈けめぐる。世間知らずのお姫様でもない限り、否定することは難しい。
 谷崎克也のセクションは自動車関連企業へと納めるロボット制御を担当していた。 無人工場の生産ライン、稼動すれば壮観な眺めである。
指紋などの存在を知らないロボットアームがアルミニウムの塊を掴み上げ、轟音をたてながら運び去る。灰色の鳥居のような入口には金属製の扉が設置され、獲物を待ちかまえた物の怪のように口を大きく拡げている。ここはどこの細道じゃぁ、なんて、つい、『とうりゃんせ』でも唄いたくなるような眺めだ。
扉が閉じれば地獄の始まり。鋭い刃具で加工が始まれば、アルミニウムの塊が金属の悲鳴を上げる。
克也はそのような状況を正確に観察をし、プログラムミスによる不穏な動作がないか、無駄な動きはないか、などのチェックをし、あれば修正をし確認する。そしてその作業を繰り返す。
はたから見れば谷崎克也もロボットのように見えるかも知れない。だが、指紋は無くしていない。


  * 影の存在


 仁美の両親は天涯孤独である谷崎克也を紹介されたとき、どこか暗鬱たる何かを感じた。
西日が坂の上の誰かを照らし、音もなく、すぅと延びた影のような不安。天真爛漫な次女にくらべ何事も真摯に受け止める長女、仁美に対しては、あからさまに忠告できなかった。そのようなことをすれば仁美は意固地になり、世間並みである両腕で描いた輪の中、家族から飛び出してしまう。
時間は戻ることのできない流砂、小さな家族にとって、心地良い風ばかりが砂紋を形成しているわけではない。
どこか不幸の匂いがする谷崎克也、新しい家族、運命を辿るアカイイトとやらも、ときとして仁美の両親を悩ませていた。


  * 影からの電子メール

 谷崎克也の私的電子メールボックスには、毎日たくさんの情報が波のように押し寄せていた。
客先からの問い合わせ、苦情、身に覚えのない新商品の紹介、人妻を装った出会い系サイトの勧誘、魔法の錬金術みたいな金儲けの企画、世の中には、実にさまざまな情報がゴミのように溢れている。
迷惑メールをゴミ箱へと自動振り分けする機能を有効にしても、日夜増殖を続ける悪意は避けられない。
そんなときでも、谷崎克也は宙に浮かべたゴミ箱へと、ひょいと捨てるような仕草でマウスを操る。慣れた手つきで不要メールを選択し、姿の見えない悪意を架空のゴミ箱へと捨てる。
無意識に作業を続けながらも、気になるタイトルヘッダーを見つけた。

『あなたの影より』

 差出人は『zenigon』、新手の迷惑メールかと思いながらもマウスでクリックする。

『わたしは、あなたの影であります。喩えではなく、あなたの実体が光あるところに存在するとき、そっとあなたの足元に佇む黒い影であります。
あなたが生まれたときから、ずっとそばに居て、あなたやあなたと接する人たちを眺めておりました。
ですので、わたしはあなたのことをよく存じ上げております。
あなたは小学2年生のとき、海岸沿いの堤防、その坂道の下で遊んでいましたね。夏の日射しがきつく、あなたは帽子もかぶらずに、たくさんの汗を流しておりました。
もちろん覚えていますよね。
そのあと、坂の上から高校生の乗った自転車がブレーキもかけずに、あなためがけて突っ込んで来ました。故意にあなたを吹き飛ばし、倒れたあなたを起こして執拗に殴り続けました。
そして、あなたの右目の視力がなくなるまで、無意味な儀式は続いたのです。ほんとうに不幸な出来事でした。
しかし、そのような出来事も、消し忘れたテレビに映し出される砂嵐のようなものです。悲惨な事故に遭われた妹さんに比べれば、ですよね。
 あなたが坂道の下で暴行をうけた日から十四年後のある日、いつもと変わらない一日のはずであり、妹さんは元気に高校へと向かいました。
けれども、その晩には白いベッドに横たわり、変わりはてた妹さん。

その顔にかかった白い布には赤黒い染みが拡がっていて、絶対に妹ではないと神さまに祈りながら、おそるおそる布をはがしました。少しずつ肌から布が剥がれるとき、実に厭な音が聞こえました。そして、もう一度、神さまに祈りました。
でも、神さまなんていやしない。せつない願いなんて、どこにも届かない。
生きながらにして抜け殻となったあなたは、底なしの井戸につき落とされたような想いで暮らし始めました。
けれども、光が届かぬはずの深い井戸にも、気づけば丸く切り取られた青空が見えてきました。仁美さんとの出会い、彼女は天涯孤独となったあなたへと優しい家族の匂いを届けてくれました。その出来事を眺めていて、影であるわたし自身も喜んでおりました。
 唐突なんですが、わたしの願いごとを一つ、かなえていただければ、あの事故のあった日の朝まで、この世を流れる時間のねじを逆廻しにする術を教えてあげましょう。
もちろん、現在までの記憶を残したまま、つまり、妹さんをこの世に連れ戻すことができるのです。
わたしの願いごと、簡単なことです。わたしは、あなたに嫉妬を感じ、そしてあなたが感じた仁美さんの光を深く知りたいのです。
ほんの少しの時間、実体であるあなたと影であるわたしが入れ替わるのです。わたしは、仁美さんを抱いてみたいのです。あなたは耳を塞ぎ目を閉じていれば、いいのです。それだけで、あなたの記憶の新たなページが悲惨な想い出と入れ替わるのです。
 わたしの未来予想図では、悲惨な事故を消去してしまえば妹さんは大学へと進学し、たくさんのお友達に囲まれます。二十歳の成人式には、レンタルでいいのに、と言い張る妹さんへと、貯金とボーナスをはたいて、素敵な振り袖をプレゼントします。鮮やかな色彩の振り袖、妹さんにはお似合いですね。
大学卒業すると、あまり売れないタウン情報誌の編集部へと就職してお洒落な店、おいしい食事を出してくれるお店を探索して紹介する記事をたくさん書きます。そして素敵な彼氏と出会い、結ばれます。
あなたと仁美さんを結ぶべきアカイイトが途切れ、妹さんの出会いを結ぶアカイイトと姿を変えるのです。

 わたしからあなたへと提示する選択肢は二つであり、限られております。
一つ、わたしからの提示を全て無視して、仁美さんと未来に進む。
二つ、わたしからの願いごとを受け入れ、妹さんをこの世に連れ戻す。
このメールに返信は不要です。あなたの心の中で決めたことを、そっと呟くだけで実行を開始します。

 それでは、良いお返事、お待ちしております。』

恋する惑星  The planet which is in love

 オズボーンのシャイで色白の物言い、あまり好きになれない。

何故か、と考える事すら億劫になる僕自身も不思議な矛盾であり、当然落ち込んだりもしてみようかと。
王様の耳はロバの耳って叫んでみれば滑稽なのだが、意外と爽快、ちょっと装っているな。快感って少し淫らな言葉が相応しい。

 まぁ 彼を縛り上げて売り飛ばすのも一つの手かな。

 えっ どこにだって、決まっているじゃないか。

 月の裏側から、そっと覗いてごらん。

 見えましたか?

 あの『恋する惑星』しかないだろう。


Of Osborne is shy, and cannot come to like pale-complexioned how to speak, a rest.
It is the contradiction that myself who become troublesome am mysterious even to think and naturally will be depressed for some reason?  
If "the ear of the King cries with an ear of the donkey", it is funny, but I am refreshing, and do not be dressed in a little unexpectedly. The words that some pleasant feelings are indecent are good.

Oh
Is it one hand I tie him up, and to sell?

Oh
I am the same to be sold where.

From the backside of the month, look quietly.

As for you, did I see a planet?

Excuse me.
There will be "only the planet which is in love".

2008年2月1日金曜日

時刻表に載らない電車 The train which does not appear in a time schedule

 真夜中にふと目を覚ます。
部屋の中は蒼い闇が支配している。エアコンディショナーのはき出す気流は、ごうごうとうねる海流に姿を変え、深い海の底まで僕を誘う。
時計の針は息を潜めてしまい、もしかすると、とまってしまったのかも知れないな。でも、今が何時であるか、なんてことは重要ではない。
僕はひとりで、まわりには誰もいない。想像してみてほしい。海底のように蒼く染められた空間で、僕はひとりぼっちで、なにも見えない。
異次元の得体の知れない時空間を浮遊しているようだ。

  蒼い闇が僕に語りかける。

「あなたは、この広い世界の中で誰からも愛されず、
 誰からも声を掛けてもらうことなく、
 誰からも思い出してもらえない存在なのよ」

 僕はこのまま闇に溶けて、消えてしまいそうになる。
だから手のひらを拡げ、顔に触れたり、小さな声をだして、まだ存在しているよ、と答える。
でも心臓は鼓動を早め、息が苦しくなっていく。ベッドからころがり落ちて床にひれ伏せる。
窓の外は、遠い記憶のような闇が僕をじっと観察している。僕は助けを乞うべく目を閉じて、記憶の中に存在するであろう光を求める。

 遠く離れた街で暮らす君が記憶の光として浮かび上がる。でも、海流にゆらめいて、伸ばした指先のほんの少しさきにあるのに届かない。
海底には鋼鉄でつくられた二本のレール、ただひたすらまっすぐ、さきの見えない地の底まで延びている。
行く宛てのない僕は混乱し、レールにしがみついて前進を試みる。
やがて疲れ果て、レールへと耳を押しつける。なにもできない僕は、じっと耳を澄ます。

 微かにレールが振動をはじめる。がたんごとん、がたんごとん。
微かな振動と僕のすべてが共鳴を引き起こし、閉じられた世界はいっせいに動きはじめ、時計は息を吹きかえす。
鋼鉄のレールは海底を揺るがす轟音を響かせ、弓のように反りはじめ、極東の街で暮らす君へと進路を変更、海面に向けて浮上をはじめる。
蒼い闇の魔法が解かれ、東の空を陽が昇ると、世界は陽光で満たされる。

 そして、僕は君のことを愛している。


 I wake up incidentally at the midnight.

Blue darkness influences it in the room. It is roaring, and the current of air that the air conditioner discharges changes a figure into an ocean current to undulate and provokes me to the bottom of the deep sea. The hand on the watch dropped breath and possibly may have stayed. But the thing is not what important what time it is now.

I am alone, and there is nobody around. I want you to imagine it. I am lonely, and, in space colored blue like the bottom of the sea, nothing is seen. I seem to float between the space-time where the world of Satan is strange.
 
 Blue darkness speaks to me.
"You are loved from nobody in this large world,  Without having you call out to you from anyone,  It is existence having you remember it from nobody "


 I melt in darkness as it is and almost fade away. Therefore I open a palm and touch the face and give a small voice and answer it that there is still it. But the heart hastens beating, and breath becomes painful. I roll off a bed and can prostrate myself on the floor.

Outside the window, darkness such as the far-off memory observes still me. I close my eyes in order to ask for help and demand the light that there will be in memory.
 You who live distantly in a remote town rise as light of the memory. But waver in an ocean current; and of the finger-tip which grew though there is it to bloom just a little, do not reach it.

Two rails made with steel in the bottom of the sea are only straight earnestly and spread to the invisible abyss of the future. Few I who is addressed who go am confused and I cling to a rail and try progress. I am exhausted before long and push an ear to the rail. I who have nothing listen still carefully.
 A rail begins vibration subtly. "Gatan-Goton, Gatan-Goton"

Dim vibration and all of me cause resonance, and the closed world begins to move all at once, and the clock brings back breath. The rail of the steel lets a roaring sound to shake the bottom of the sea sound and begins to bend like a bow and begins surfacing to you to live in the town of the Far East for a course change, the surface of the sea.

When magic of blue darkness is solved, and a positive rises in the east sky, the world is satisfied by sunlight.

 And I love you.

自己紹介

仕事柄、あちこちとふらついております。 Because of the profession, it sways here and there.